牛丼から見る消費者動向

2015.05.07Yoshimi : 

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牛丼が脱デフレに苦しんでいます。

2014年12月に並盛りを値上げした吉野家の1~3月の来店客数は20%近くのマイナスが続いています。

4月15日に値上げしたゼンショーホールディングスが運営する「すき家」も戦々恐々です。

肉の20%増量とともに「商品設計を見直した戦略的価格改定」を掲げているが、業績が低迷する中での動き。
消費者が素直に信じることはなく、浸透には時間がかかりそうです。

円安や原料高、人件費の上昇などファストフードは逆風だらけ。にもかかわらず市場は複雑で、

消費者は牛丼の値上げには納得しなくても、やや高めのすき鍋には食いついています。

外食に対してもっと安さを求めているのか。あるいは、付加価値を求めているものなのか。実態を読み切れない時代になっています。

不透明な消費者行動だが、吉野家が最近つかんだ明確な事実があります。

それはヒット商品となった牛すき鍋膳の購買層です。
当初、60歳以上の利用者は10%程度と見ていたが、ふたを開けると35%に達していました。
特盛りや200円台など安さとボリュームで若者やサラリーマン層をひき付けてきた吉野家だが、すっかりシニア化していたわけです。

高齢化が進む中、価格の上げ下げだけで成長できる時代ではなく、年齢層、時間帯など幅広い視点から市場を開拓する必要があります。

その一つが吉野家で居酒屋サービスを提供する「吉呑み」の展開です。

そもそも「かつて吉野家に来ていたビールと牛皿を注文していた顧客はどこへ行ったのか」という議論からつながったこのサービス。

現在150店で実施している吉呑みのメニューは100円台、200円台が多く、ちょい飲みにはぴったり。

東京・神田の店では、シニア層を中心にごった返し、満席が続いていました。
一方、長時間飲み続ける女性客もいて、完全に居酒屋です。同社では「締め」で食べる小ぶりの牛丼メニューも検討中という。

市場の変化は急激にやってくるわけではありません。

セブン―イレブン・ジャパンの客層を見ると、50代以上の利用者は30年前の85年で9%、95年が12%、最新データの2013年は30%に膨らんでいます。

一方、20代以下となると85年は64%、95年は57%、13年には29%と大きく低下しています。

00年代は既存店の苦戦が目立ったセブンイレブンはこうした変化への対応を強め、再び成長力を備えました。

「ユニクロ」のファーストリテイリングや「東京ディズニーランド」のオリエンタルランドも10代からシニア層まで幅広い年齢層に同じような商品サービスを提供し、成長しています。

コスト増など逆風下でも強みを生かしたボーダーレスの競争力が欠かせません。

現在の日本は成熟市場で、価格だけサービスだけでは生き残りにくい時代になっています。

消費者動向が読みづらい今、市場の変化を読み取り、自社の提供するサービスを見直すことが
必要であると改めて感じます。

No.19757